C++で構造体型のvector変数をソートする方法

C++で構造体型の変数を使っている時、その変数の配列もしくはvectorをソートする方法を紹介します。
方法自体はいくつかあるみたいなのですが、今回は「演算子のオーバーロード」で実現したいと思います。
つまり、本来使用できない構造体の演算子(”>”や”<“)に意味を持たせて(オーバーロードして)使用できるようにします。
構造体の演算子をオーバーロードするには、operatorというメンバ関数を追加します。

struct Struct {
    int num1;
    int num2;

    bool operator<(const Struct& another) const {
        //メンバ変数であるnum1で比較した結果を
        //この構造体の比較とする
        return num1 < another.num1;
    }
};

こうすると、Struct型変数同士の比較ができるため、Struct型のままstd::sort関数に渡してソートすることができます。
(std::sort関数は、”<“のみを使ってソートしているため”<“のみの記述でソートが可能です。もし、”>”演算子を使う必要があるときは同様にoperator関数を追加してください。)

#include <iostream>
#include <vector> //for vector
#include <algorithm> //for sort

using namespace std;

struct Struct {
    int num1;
    int num2;

    Struct(int n1, int n2) {
        num1 = n1;
        num2 = n2;
    }

    bool operator<(const Struct& another) const {
        return num1 < another.num1;
    }
};

int main() {
    vector<Struct> vec;
    vec.push_back(Struct(10, 20));
    vec.push_back(Struct(5, 5));
    vec.push_back(Struct(15, 10));

    cout << "Before" << endl;
    for (int i = 0; i < vec.size(); i++) {
        cout << i << ": num1=" << vec[i].num1 << ", num2=" << vec[i].num2 << endl;
    }

    //ここでソートする
    sort(vec.begin(), vec.end());

    cout << "\nAfter" << endl;
    for (int i = 0; i < vec.size(); i++) {
        cout << i << ": num1=" << vec[i].num1 << ", num2=" << vec[i].num2 << endl;
    }

    return 0;
}

実行結果

Before
0: num1=10, num2=20
1: num1=5, num2=5
2: num1=15, num2=10

After
0: num1=5, num2=5
1: num1=10, num2=20
2: num1=15, num2=10

num1の値でソートされていることが分かります。

例2:クラスでも可能

構造体での演算子オーバーロードを紹介しましたが、クラスでも構造体と同じように演算子オーバーロードができます。
(当たり前。というか逆にクラスで演算子オーバーロードができるからC++の構造体では演算子オーバーロードができる、というのが正しい流れですね)

#include <iostream>
#include <vector> //for vector
#include <algorithm> //for sort

using namespace std;

class Class {
public:
    int num1;
    int num2;

    Class(int n1, int n2) {
        num1 = n1;
        num2 = n2;
    }

    bool operator<(const Class& another) const {
        return num1 < another.num1;
    }
};

int main() {
    vector<Class> vec;
    vec.push_back(Class(10, 20));
    vec.push_back(Class(5, 5));
    vec.push_back(Class(15, 10));

    cout << "Before" << endl;
    for (int i = 0; i < vec.size(); i++) {
        cout << i << ": num1=" << vec[i].num1 << ", num2=" << vec[i].num2 << endl;
    }

    //ここでソートする
    sort(vec.begin(), vec.end());

    cout << "\nAfter" << endl;
    for (int i = 0; i < vec.size(); i++) {
        cout << i << ": num1=" << vec[i].num1 << ", num2=" << vec[i].num2 << endl;
    }

    return 0;
}

実行結果は構造体の時と同じです。

補足

この方法は演算子の挙動を自分で変えてしまうものなので、同じプログラムを使い続けていると気づかない内に不具合を起こしてしまう、という可能性は残ってしまいます。
そのため、この方法は一時的な(または将来拡張しないことが前提の)プログラムに対する処置と割り切り、そうでない場合はpairやmapといった他のコンテナクラスを用いた設計に変える対策をとるほうが良いかもしれません。

C++でフォーマットが決まっているファイルからistringstreamを使ってデータを読み込む

C++でファイルを読み込む方法です。
今回は特にフォーマットが決まったファイルからistringstreamを使ってデータを取得する方法を紹介します。

まずistringstreamを使うと、リダイレクション記号(>>)で文字列から簡単に数値を取り出すことができます。
数値はスペースで区切られている必要があります。

double num1, num2, num3;
istringstream iss("1 2.5 3");
iss >> num1 >> num2 >> num3;
//num1=1, num2=2.5, num3=3 になる

これを応用して、ファイルからデータを読み込む時も、最初にgetline等でファイルから取得した文字列をistringstreamに代入し、最後に上で示したリダイレクション記号を使って数値を取り出します。

ifstream ifs("data.dat");
string str;
double num1, num2, num3;
while (getline(ifs, str)) {
    istringstream iss(str);
    iss >> num1 >> num2 >> num3;
    //data.datから読み込んだ1行が「1 2.5 3」とすると
    //num1=1, num2=2.5, num3=3 になる
}

ただし、この方法はフォーマットが決まっていることが前提なのでそれだけ注意してください。

今回の例では、読み込むファイル(data.dat)はカンマで区切られた3つの数字が1行に格納されていることを想定します。
カンマで区切られているので、今回紹介した方法を使えるようにするために、最初にカンマをスペースに置換します。
置換はstd::replaceで行います。

#include <iostream>
#include <string>
#include <fstream> //for ifstream
#include <sstream> //for istringstream
#include <algorithm> //for replace
 
using namespace std;
 
int main() {
    ifstream ifs("data.dat");
    string str;
    double num1, num2, num3;
 
    while (getline(ifs, str)) {
        replace(str.begin(), str.end(), ',', ' ');
 
        istringstream iss(str);
        iss >> num1 >> num2 >> num3;
        cout << "num1=" << num1 << ", num2=" << num2 << ", num3=" << num3<< endl;
    }
 
    return 0;
}

data.datの中身が以下のようだと

1,5,1.1
-1,3,3.4
2,4,-4.5
10,2,1.08

出力結果は以下のようになります。

num1=1, num2=5, num3=1.1
num1=-1, num2=3, num3=3.4
num1=2, num2=4, num3=-4.5
num1=10, num2=2, num3=1.08

整数でも小数でも負数でも想定通りに動きます。